このたび、ベストセラー作家であり、世界でもっとも影響力のある僧侶のひとりと言われているヘミン和尚さんの著書「完璧になれない。だからいい」の翻訳をしました。
ここでは、私がこの本の翻訳者になるまでの話を書きます。書籍の内容ついてはこちらをご覧ください。
私の場合、出版社さんから依頼を受けたのではなく、この本を翻訳したい!と思って自らオファーをして実現したものです。なので、「翻訳したい本があるけどどうしたらいいのかわからない」という方にも使えるヒントがあるかもしれません(^^)
ヘミン和尚さんのプロフィールや、人柄が伝わる動画は下の記事に書きましたので、ぜひ合わせてお読みください。
ヘミン和尚さんの本との出会い
私が最初にヘミン和尚さんの本、「Love for Imperfect Things」に出会ったのは、ベルギーのショッピングサイトでした。
2019年11月頃、ルノルマンカードというフランス発祥の占いが気になって調べていた頃のこと。
ある動画で、日本人占い師がオランダ語のルノルマンカードを使っているのを目にしたのです。「オランダ語のカードなんて珍しい!私も欲しい!」と思ってベルギー在住中に頻繁に利用していたBol.comというサイトでカードを検索しました。同じカードが運良く見つかり購入しようとしたところ、「あなたにオススメ」の部分にこの本が上がってきたのです。
本の検索はこの時していなかったので不思議だったのですが、表紙に魅了されてクリックし、内容を少し読んだところですぐにカゴに入れました(笑)
とても興味深い内容だったのです。
ちなみに占いに関してはルノルマンカード占いのサイトを作りました。
読み終わらないうちから翻訳のオファーへ
本が到着してすぐに、3-4ページほどパラパラといくつかの短文を拾って読んだあとすぐに、「この本は私が訳すんだ!」と勝手に自分の中で決めました(笑)
やさしい言葉が書かれているだけではなく、そこに掲載されているイラストにも惹かれました。
そして、最近はSNSで他人と比べて気持ちが落ちてしまう人が多いと聞く中で、そういう人たちを救う言葉が書かれていたこと。家族や人間関係で悩んでいる人たちの手助けになる言葉がたくさん書かれていたこともあり、この本を日本語に訳して、生きづらさに悩んでいる人や息苦しさを感じている人たちのために訳したい、と思ったのです。
翻訳者になるためにまず私がしたことは、本の最後に書いてあるヘミン和尚さんのオフィシャルサイトを訪ねることでした。その問い合わせ先を見ると、翻訳に関してはこちらへ、とうものがあり、イギリスの版元さんのアドレスが書かれていました。
本が到着した翌日のことだったと思います。すぐにイギリスの版元さんに連絡を取りました。
今までの経験から、こういう連絡はスルーされることが多いのですが(笑)、ペンギンブックスさんはすぐに丁寧なお返事を下さいました。
書かれていたのは、日本語はまだ出ていないと思うということと、個人とは契約ができないから、出版社が見つかったらここに連絡をしてください、というエージェントさんの連絡先。
そこで、すぐに「アラン・グレのメッセージブック」を出版していただいたアノニマスタジオさんに連絡を取りました。
こういう本があってぜひ翻訳をしたいのだけど、どこに連絡をとったら良いのかわからないので、もし何かご存知でしたら教えてください、とお願いしたのです。
するとご担当者さんから、「この本の出版に興味があるので、一度お話を聞かせてもらえませんか?」とお返事をいただきました。2020年1月のことです。
その後ミーティングをして、しばらく待つことに。先方さんも本社を含めみなさんで話し合わなければならないとのこと。
この時点ではまだ日本語の権利はあいていたのですが、こうして何週間も待っている間にも、もし他の出版社さんが現れたら権利を取られてしまうのではないか・・・ととても心配になった時期もありました。でもそうなったらそうなったで、いつものことだな、とも(笑)
ぬか喜びで終わる、というのは今までに数え切れないほど経験してきているので、今回の話も流れてしまったら、悔しいけどまぁいつものことか、と思うことにしてました^^;
翻訳者として決まるまで
それからしばらく経ち、3月に入ったところで、アノニマスタジオさんからこの話を進めましょう、というお返事をいただきました。ただ、案の定ほかにも希望している出版社さんが出てきたとのこと・・・もうこれは無理だなと、ここでもぬか喜びで終わることの準備をしていたのですが(笑)、とても運良く、エージェントさんがアノニマスタジオさんで決定したとの連絡を受けました。
このときは本当に本当に嬉しかったです!諦めていた分、さらに嬉しさ倍増でした!
本格的に読み始めたのは翻訳作業が始まってから
翻訳のオファーをした時点では、まだ本を読み終えていませんでした。それくらいこの本は素晴らしいものだと確信してましたから。
そして、とにかく急がなければ!という気持ちが何よりも強かったので。
本格的に全てを読んだのは、翻訳作業を始めてからのことです。
翻訳したい本がある場合
今回の私の場合、ラッキーなことに、お付き合いのあった出版社さんが承諾して下さったから、話が進みました。
では、もしなんのツテもない場合にはどうしたら良いのでしょう。
私だったら、片っぱしから出版社さんにオファーしまくります(笑)
今回の翻訳に関して、「リコさんはコネがあったからラッキーでしたね」と言われることがあります。確かにそうです。
ただ、このコネを作った一番最初のつながりを振り返ってみると、それは私が片っぱしからオファーをしまくっていた時期があったからなのです。
それは、私が版権を持っているアラン・グレさんのイラストを使った書籍のオファーをしているときでした。
日本での出版社さんとのつながりはひとつもなかった時期、思いつくままに、出版社さんに次々と連絡をしていました。
その中で、アノニマスタジオさんがお話を聞いてくださり、アラン・グレのメッセージブックの出版となったのです。
オファーしてダメだった場合、オファーしなかった時の状態に戻るだけのことですが、さらに「ダメだった」という結果がわかるという利点もあります。
なにもしなければ、それすらわかりません。
でももしかしたら、そこで興味を持ってくださる方がひとりでも現れるかもしれないのです。
そのたったひとりを見つけるためには、やはり行動を起こさなければなりません。
私がいつも思っていること。
「聞くのはタダ」
聞いてみてダメだったら、元に戻るだけ。聞いてみて良い方向に進んだらラッキー!
これは私の性格的なことかもしれませんが、私は聞かずにいるとか、やらずにいる、ということができません(笑)
やらないまま頭の中で考えるだけ、ということが子どもの頃から苦手なのです。
もちろん、もっと考えてから行動すべきだったなぁと思うこともたくさんありますが(笑)、それはそれで何かしらの意味があったのだろうと思っています。
ヘミン和尚さんのことばより
ここで、「完璧になれない。だからいい」にある『勇気』の章から、いくつかの文章を抜粋しますね。
完璧でなくても、とりあえずつぎに進みましょう。
あなたが思う完璧とほかの人が思う完璧が
おなじものとはかぎらないのですから。
不安に悩まされたら
気になっていることをひとつずつ書き出しましょう。
そして、まだ実際に起きていないことは
リストの下に移動するのです。
いま起きていることだけを心配するようにしましょう。
ほかのことは、そのときがきたらなんとかなるものですから。
うまくいかなくても、そこであきらめずに
別の方法を試していきましょう。
あらかじめ用意されている答えや
これさえやれば成功するといった方法はありません。
最善策は、失敗と挑戦のなかから見つけるものなのです。
勇気の章は、『まだ若きあなたへ』と『はじめての挫折』という2つのことに関して書かれていて、まわりからいろいろなことを言われて自分が進みたい道へ行くのをためらっている人や、挫折をして立ち直れないでいる人たちへの言葉が詰まっています。
ちなみにこの本は次の8章に分かれていますので、その時のご自身の心の状態や気分によって読むといいと思います(^^)
1. 大切な自分
2. 家族
3. 思いやり
4. 人間関係
5. 勇気
6. 癒やし
7. 自由
8. 受け入れること
翻訳作業のこと
翻訳者として決定したら、翻訳作業が待っています。
下の記事では、今回の翻訳作業中のことや、翻訳に役立つサイトなどをご紹介していますので、合わせてご覧ください。
私のほかの訳書は下のサイトに掲載しています。