以前「言葉は言霊」の記事でも書きましたが、言葉は本当に不思議な力を持っています。
普段使っている単語を変えるだけで、やる気がアップしたり、成果が出やすくなったりしますし、使う言葉次第で、自分の性格までをも変えることができます。
メンタルトレーナーとして有名な西田文郎氏の著書で、言葉を変えることで現実も変えてしまうという、興味深いことが紹介されていました。
勉強嫌いな子供に「勉強したの?」と聞くと、当然のごとながら不機嫌になります。これは、「勉強」という言葉に否定的な感情を持っているからです。優等生の場合は「勉強」という言葉を使っても心は傷つきませんが、できない子供の場合は、劣等感を感じまくっているので、さらにその上塗りをすることになります。(中略)子供のみならず、大人も同じで、たとえば、「仕事」という言葉を聞いただけで憂鬱になってしまうという人なら、朝に家を出るときに、「仕事に行ってくる」ではなく、「楽しみに行ってくる」と言いながら出ればいいわけです。
「本当にそんな簡単に行くのかな?」と思われるかも知れませんが、言葉のパワーは想像以上です。
言葉は直接脳に働きかけ、心に繋がり、そこで起こった気持ちは行動にも変化を呼び起こします。
ここで少し試してみましょう。
・ 明日も仕事だ
・ 仕事をしなければならない
・ 仕事がたまっている
仕事を楽しみに変えてみます。
・ 明日も楽しみだ
・ 楽しみをしなければならない
・ 楽しみがたまっている
面白いですね(笑)
いかがですか?言葉から受けるイメージって、全然違いますよね。
これを読むだけでなく、実際に声に出してみるとその違いがよく分かるので、ぜひ試してみてください。
私はこの魔法のようなツールを、「言葉替えゲーム」と名づけ、コーチングのセッションでも使っています。
ゲームと名付けると、なんだかそれだけでもワクワクしてきます。
先日のクライアントさんはデザイナーさんで、「イラストの練習をしなければならないのに、やる気が起こらない」というお悩みでした。
色々とお話を聞きながらコーチングを進め、最終的に「イラストの練習がしたくなりました」というところまで来たのですが、私の中で何だか「練習」という言葉がとても引っかかっていました。
「練習=しなければならないこと」のイメージがある気がしたのです。
クライアントさんに訪ねてみました。
「練習という単語を、別の単語に変えてみるとしたら、何が思い浮かびますか?」
すると彼女は少し考えた後、元気よく答えました。
「落書き!イラストの練習ではなく、イラストの落書きです!」
そしてこう続けました。
「落書きって思ったら、好きなことを描けますよね。何を描いたって良いんだって思ったら、今すぐ描きたくなってきました!」と。
「落書き」という単語からイメージはさらに膨らみ、彼女が描きたいもの、使いたい道具、絵のイメージなど、いろんなことが次々と出てきました。
本当に不思議です。
「練習」という単語を使っていた時には出てこなかったイメージが、「落書き」という単語に変えた途端に溢れるように出てきたのです。
「言葉替えゲーム」はどんな単語にも使えます。
学校で出る「宿題」という単語も、良いイメージを持っている人は少ないでしょう。
これも「楽しみ」に変えてしまえば良いのです。
・ 「今日も宿題がいっぱいだ」 → 「今日も楽しみがいっぱいだ」
・ 「宿題をしなければならないから帰るね」 → 「楽しみをしなければならないから帰るね」
・ 「週末は宿題に時間を費やすことになる」 → 「週末は楽しみに時間を費やすことになる」
(笑)
文章を読むだけでもなんだか笑ってしまいますが、不思議なもので、これを聞いたあなたの脳は、自動的に、「おや?楽しいことがあるらしいぞ!?」と考え始めるのです。
そして、楽しいこと探しに取り掛かり、実際に楽しいことを見つけるように働きます。
人の脳は、それくら単純なところがあるのです。
「練習」という単語は、私の場合は「自信を付ける」という単語に変えています。
「ゴルフの自信を付けに(練習に)、行ってくる」
ジム通いも、「ジムに行く」という言葉を「自信を付けに行く」と変えれば、本当に自分に自信が付いてくる気がしてきます。
どんなネガティブなイメージを持つ単語も、こうしてポジティブに変えてしまうことで、自分の受けるイメージが一気に変わるのです。
病気も同様です。
「ガン」もいけません。「ガギグゲゴ」という音は、心を傷つけてしまうようなキツイ響きがあるからです。もし、「西田さん、胃ガンですよ」と言われたとしたら、私は気が小さいので、もうそれだけで生きていけなくなると思います。これこそ、優しい言葉に置き換えるべきです。実際に私は、医師達の集まるセミナーで、「ガンを”ポン”に変えろ」と、真剣に訴えています。「パピプペポ」は、優しい響きを持っている言葉だからです。実際、「あなたは”胃ポン”です」と言われたらどうでしょう。「ああ、胃ポンですか、そうですか。じゃ、ちょっとがんばろうかな」という気にもなるのではないでしょうか?少なくとも、ガンと言われてガーンとなるよりは、ダメージは軽減されることでしょう。このように、言葉はありがたくも恐ろしいものなのです。軽く考えてはいけません。
確かに、響きが全く異なりますよね。
これを読んで、「病気が見つかる」という文章の「病気」という単語を、思い切って「宝」と言い換えたらどうなるかな?と先日考えてみました。
「宝が見つかった」
こう考えると、病気になったことで見つかる「宝」が出てきそうな気がしました。
家族のありがたみが分かったり、人に支えられていることを感じたり、今まで当り前だったことが「宝」に見えてきたり・・・
その状況自体は変わりませんが、それをどうとらえるかは、いくらでも変えることが出来ます。
言葉や単語から、ネガティブで否定的な印象を受けるものがあったら、ぜひ「言葉替えゲーム」を始めて、あなたの良い言葉に変えて使ってみてくださいね。
その効果は、あなたの想像をはるかに超えるものとなるはずです。