何か新しいことを始めるときには、大きな決断と勇気が必要です。
チャレンジする前に、不安はつきもの。
「よし!これに挑戦しよう!」とせっかくやる気になっても、もう一人の自分が、「失敗せずに出来るかな?」「もし上手くいかなかったらどうしよう・・・」という言葉をかけてきて、ストップをかけることがあります。
でも、この不安な声を聞いていては、新しいことは一つもできません。
不安な声に打ち勝ち、思い切って進む勇気が必要になるのです。
この記事は、日本初の南極越冬隊 第1次南極越冬隊長となった西堀栄三郎氏の著書、「石橋を叩けば渡れない」からご紹介します。
「知らぬが仏」で突き進む勇気
やるかやらないかを決心する前に、こまごまと調査すればするほど、やめておいた方がいいんじゃないかということになる。
“石橋をたたいて渡る”とか”渡らん”とかいうけれども、石橋を完全にたたいてから、渡るか渡らんか決心しようなんて思っていたら、おそらく永久に石橋は渡らんことになるだろうと思います。
完全にリスクを防止できる調査なんて、できるはずがないのです。新しいことには、リスクがつきもので、だからこそ新しいのです。(中略)
むしろ新しいことをやる決心は、「知らぬが仏」とか「盲蛇」とかいわれるようなのがよいのです。
西堀氏は、誰も想像すらできなかった場所へ行った最初の日本人。数々の試練・難題を乗り越えた方です。
新しいこと、革新的なことをやるには、自分は出来ると信じる自信と、その自信を超越する、やろう!という勇気が必要だと述べています。
「人事をつくして、天命をまつ」という言葉、「案ずるより産むが易し」という言葉は、すべて勇気をださせるためのものなのです。(中略)
「成せば成るのである」ということは、暴言でもむちゃでもないのです。たとえ、途中で困難や危険があろうと、また論理や経験からは不可能だと思われようと、「カン」という第六感的洞察によって、可能性の見通しがつくこともあるのです。
また一見、見通しがつかないときにこそ、「窮すれば通ず」のたとえのように、創造性が必要であり、また出やすいときですから、できる、と信ずることが、道をひらいてくれることになるのです。
とりあえず行動を起こし、やりながら考える
ものごとを始める前に、色々な方向からのリスクや状況を想像し、対策を前もって考えるのはもちろん大切なことです。
ただ、それをいつまでもやり続けたところで、”絶対に大丈夫”ということはないのです。
いくら準備万端でも、全く予期しなかったことは起こり得ます。
いつまでも準備万端にすることに一生懸命になり過ぎると、始める機会を逃すことになります。そこに大きなチャンスが隠れているのかも知れないのに・・・
チャンスを逃さないためにも、ある程度のところで見切りをつけて、まずは行動に移す勇気が必要です。
実際に始めてから、起こったことに対応して行けば良いのです。
始める前に、「色んなことが起こり得るんだ」という心構えがあれば、予想しなかったことが起きても、心構えができていますから、起きたことに対して立ち向かうことが出来ます。
「私は準備を万端にしたから絶対に大丈夫だ!危険なこともすべて予想した」という態度でいると、予期しなかったことが起きた時に、全く心の準備ができていませんから、大パニックに陥ってしまうのです。
新しいことを始めるのに、準備を100%万端に整えるなんてできないのです。
このことを頭に置いておけば、まずは一歩踏み出せるのではないでしょうか。
何か起きたら、その時に考えれば良い。
これくらいの気持ちがないと、「勇気」や「自信」はいつまでたっても顔を出してくれません。
そして、上手く行かなかったとしても、そこから必ず学ぶものはありますから、次に生かせばよいのです。
起こること全てに意味があり、それは必ずあなたの役に立つと考えることで、どんなことも「経験」としての価値を見出すことができます。
それでもまだ勇気が出ずに迷っているあなたへ
ここで、コーチングで使う質問をします。
「このままの状態が一年続いたとします。一年後もあなたは、今日のあなたと同じ状況だとしたら、どう感じますか?」
「1年後のあなたは、今のあなたにどんな言葉をかけますか?」
どんな答えが出るでしょう?
もしあなたが、1年後も今日と同じ状況で構わないという場合には、それほどやりたいことではないのでしょう。
もしこのままだとした場合に、後悔する気持ちが出てくるのだとしたら、どんな小さなことからでも良いので、今すぐ行動に起こしてみてくださいね。
急に大きなことを始めようとすると怖いかも知れません。でも、今できることは何か?を考えると、意外とスムーズに行くかもしれませんよ。
小さなステップからで良いのです。とにかく動くこと、行動を起こすことで、次のあなたのステップへと繋がます。
私も実際に、クライアントさんから、その大きな変化を見せて頂いています。
最初は「そんなの自分にできるわけがない」と思い込んでいたものが、コーチングのセッションごとに少しずつできることから始め、最後には、本人が想像していた以上の力を発揮しているのです。自分にはできないと思っていたことも、少しずつ、できることから計画を立てて行動を起こしていくことで、その積み重ねが最終的に大きな目標達成へと繋がっています。
私は、クライアントさんがいくら「私にはできない」と言っても、「今はまだできないかも知れないけど、いつか絶対にできるようになる」とクライアントさんの力を心の底から信じてコーチングをしています。
このことがクライアントさんの力となり、やる気やモチベーションにも繋がっているのだと感じています。
私たちは、「ここまでだ」とリミット(制限)を設定してしまうと、本当にそこまでしか力を発揮することができません。
これは本当にもったいないことです。
ここまでだと設定されたリミットは事実ではなく、あくまであなたの心構えを現したものだからです。言ってみれば、想像の世界です。
「どこまで行けるかやってみよう!」「まだまだこれからだ!」という気持ちが、新たなパワーを生みます。
今までに何度も書いていますが、私は人間の無限の可能性を心から信じています。